東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が虐待死した事件を受け、政府がまとめた緊急対策の概要が19日判明した。結愛ちゃんの転居後に児童相談所(児相)の職員が家庭訪問したが本人に会えず、事件を防げなかったことを踏まえ、必要な面会ができなかった場合は原則、強制性のある立ち入り調査を行うことをルール化する。20日の関係閣僚会議で決定する。

 現在の国の指針では、児相に虐待の通告があった場合などは48時間以内に子どもを直接目視することが望ましいと規定している。親が子どもに会わせることを拒む場合などを想定し、児童虐待防止法は児相に強制的な立ち入り調査の権限も付与し、必要に応じて警察官の立ち会いも要請できる仕組みになっているが、実際の運用は少なかった。対策では「会えない場合は原則立ち入り調査を行う」とし、48時間経過後の、安全確認を徹底する。

 また、結愛ちゃんが幼稚園などに通っておらず家族以外との接点が少なかったことを踏まえ、全国の自治体に対し、乳幼児健診を受けていなかったり、保育所や幼稚園に通っていなかったりする子どもの情報を9月末までに集約するよう要請。所在を確認し、必要に応じて養育支援の対象とするよう求める。

 児相の体制強化については現行の「児相強化プラン」を改め、2019年度から22年度までの4年間で児童福祉司を約2000人増員することを柱とした新プランを年末までに策定する。一時保護した場合に預かる里親の拡大に向け、預かった子どもを保育所で優先的に受け入れるようにすることも盛り込んだ。【横田愛、藤沢美由紀】

◇児童虐待防止緊急対策のポイント

・児童相談所の児童福祉司を2019〜22年度に約2000人増員するなど児相の体制強化に向けた新プランを策定

・虐待通告を受けても48時間以内に子どもに会えない場合、原則立ち入り調査を実施

・保育所などに通っていない子どもの情報を自治体が集約し、所在を確認

毎日新聞2018年7月19日 19時57分(最終更新 7月19日 20時50分)
https://mainichi.jp/articles/20180720/k00/00m/040/056000c