https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-44780348

年収1300万円でも「低所得」 米サンフランシスコの実情
2018年07月20日

ライアン・ナン、ジェイ・シャンボー 米ブルッキングス研究所「ザ・ハミルトン・プロジェクト」

米国で年収が11万7400ドル(約1300万円)の家庭が「低所得層」に分類される街があると政府の統計数字が示した。なぜこんなことがあり得るのか。

年収10万ドル以上が「貧しい」という状況は、多くの人を驚かすかもしれない。

しかし、所得と住居費を勘案すれば、一部の家族にとっては現実だということが、米住宅都市開発省が最近発表した報告書で明らかにされている。

報告書によると、サンフランシスコ市とサンマテオ、マリン両郡では、11万7400ドルの年収がある4人家族は「低所得」となり、7万3300ドル(約820万円)の場合は「非常に低い所得」に分類されるという。これは米国内で最も高い水準になる。

米ブルッキングス研究所「ザ・ハミルトン・プロジェクト」が作成したインタラクティブ・ウェブサイトでは、米国各地、また職種間でいかに所得水準に幅があるのかを検討し、米全土で都市と地方で何が起きているのかを明らかにしようとしている。

貧困水準以下

米国では、4人家族の3分の2近くの年収がサンフランシスコで「低所得」とされる11万7400ドル以下だ。
米国全体では、4人家族の中央値は9万1000ドル(約1020万円)で、全ての所帯では5万9000ドルになる。(このコラムでは中央値を主に使う)
そして3億2600万の人口がある米国全体で、4000万人以上が4人家族としての貧困水準(2万5100ドル)を下回っている。
すべての職種を見ると、一部の大都市での収入が他の場所よりもずっと高い水準にあることが分かる。

その格差が特に目立つのがサンフランシスコだ。
サンフランシスコがITなどテクノロジー分野の中心地になり、好景気のけん引役となるなか、多くの高所得者が同市に住むようになった。
サンフランシスコ市と近隣のアラメダ、コントラコスタ郡など都市部に住む25歳から64歳の正社員の年収は、2008年から16年にかけて26%増加し、他の多くの主要な都市部の伸びを大幅に上回った。2016年には年収の中央値が6万3000ドル(約710万円)に達した。

もちろん、米国で賃金が高い地域は他にもある。
25歳から64歳の年齢層で、典型的な正社員の年収は、シリコンバレーに位置するサンノゼで6万5000ドルで、ワシントンDCでは6万600ドル、ボストンでは5万5700ドルだ。
(リンク先に続きあり)