西日本高速道路会社は7月13日、7月豪雨の影響で崩落した広島呉道路坂南インターチェンジ(IC)―天応西IC間の現場を初めて公開した。同日に「広島呉道路災害復旧に関する検討委員会」(委員長:村田秀一・山口大学名誉教授)を立ち上げ、原因究明や復旧工法などの議論を始めた。

 被災箇所は坂南ICから1kmほど南に位置する。高速道路の区域外で土石流が発生し、道路(上下線)が崩壊した。崩壊の影響などで、広島呉道路は坂北IC―呉IC間で不通が続いている。

広島呉道路の被災箇所。真上からドローンで撮影した(写真:西日本高速道路会社)
https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/00.jpg

https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/01.jpg
広島呉道路の被災箇所。写真左手で土石流が発生し、道路が崩壊した

通行を再開した国道31号から見た広島呉道路の崩壊箇所
https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/02.jpg

土石流と道路の崩壊の影響で、JR呉線と国道31号が寸断された。国道31号は7月11日夜に通行を再開した
https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/03.jpg

■道路を吹き飛ばしたにしては土量が少ない?

 西日本高速が道路の崩壊を見つけたのは7月8日午前8時35分ごろ。午前7時5分ごろに巡回した際に異常はなかったという。現場を含む仁保IC―呉IC間は6日午後6時42分から通行止めとしており、崩壊による人的被害はなかった。

 現場付近では、通行止め開始直後の6日午後7時10分に1時間雨量74mmを記録。5日の降り始めから被害を発見した8日午前8時35分までの累積雨量は464mmに達していた。

広島呉道路の被災箇所付近の雨量
https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/04.jpg

西日本高速道路会社が立ち上げた検討会で委員長を務める村田秀一・山口大学名誉教授は、「ガードレールがそのまま残っているのは特異な現象だ」と語る
https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/05.jpg

■花こう岩地帯の高速道路、豪雨時の対応も提言

 委員を務める土木研究所地質・地盤研究グループ施工技術チームの宮武裕昭上席研究員は、「土石流の発生から道路の崩壊に至るまでの間に、何らかのメカニズムが働いたのではないか」と補足する。

 村田委員長は、「まずは一日も早く道路を開通させたい。さらに、今回のように1時間に50mm、累積300mmを超えるような降雨があった場合に、西日本の花こう岩地帯の高速道路ではどのように対応すればいいか、併せて提言したい」と意気込む。

被災箇所の地質概要図(資料:西日本高速道路会社)
https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/06.jpg

広島呉道路では合計7カ所で土砂が道路上に流出するなどの被害が出ている
https://cdn-tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/07.jpg

■検討委員会の主なメンバー
委員長:村田秀一・山口大学名誉教授
委員:土田孝・広島大学大学院工学研究科教授
委員:中田幸男・山口大学大学院創成科学研究科教授
委員:冨樫篤英・国土交通省中国地方整備局道路部長
委員:宮武裕昭・土木研究所地質・地盤研究グループ施工技術チーム上席研究員

2018/07/20 05:00
日経XTECH
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00372/071800029/?P=1