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IMF専務理事 米の保護主義的な姿勢をけん制
2018年7月22日 6時01分米中貿易摩擦

G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議が21日、アルゼンチンで始まりました。IMF=国際通貨基金のラガルド専務理事は、会議を前に、アメリカのトランプ政権が保護主義的な姿勢を強めていることについて「世界経済に影響が拡大するのは望まない」と述べて、けん制しました。

G20は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで2日間の日程で始まりました。

これに先立って、議長国、アルゼンチンのニコラス財務金融相とともに会見したIMFのラガルド専務理事は、アメリカが保護主義的な姿勢を強めていることについて「保護貿易や関税がエスカレートしていくと、世界経済にどんな影響を与えるのか、注意深く見守っている」と述べました。

そのうえで、「世界経済に影響が拡大していくことは望まない。アメリカの通商政策の行方を見ていく必要がある」と述べ、アメリカ側の動きをけん制しました。

一方、トランプ大統領が、中国やEU=ヨーロッパ連合が為替を操作していると批判していることに関連し、ラガルド専務理事は、為替について「今回のG20の重要なテーマで、議論することになるだろう」と述べて、通商政策と密接に関わる為替政策も議論されるという見方を示しました。
専門家「中国の為替政策次第で効果なくなる」
アメリカ、ワシントンの経済政策研究所のシニアエコノミスト、ロバート・スコットさんは、トランプ政権が貿易赤字の削減のために中国からの輸入品に関税を上乗せしても、中国の為替政策次第で効果がなくなるという見方を示しています。

ロバート・スコットさんは「中国は、自国の通貨を下落させるという最後の切り札とも言える措置で対抗できる。中国からの輸入品はより安くなり、中国への輸出品はより高くなるので、関税上乗せの効果はなくなってしまうからだ」と述べたうえで、「トランプ政権による関税上乗せ措置は、自滅的な政策だ」と指摘しています。