文部科学省の支援事業をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は勾留期限の24日、前局長を受託収賄の罪で起訴し東京医科大学の前理事長と前学長についても贈賄の罪で在宅起訴するものとみられます。関係者によりますと、前局長の息子が入試前に海外旅行した際、費用の一部をともに逮捕された仲介役の男が役員だった会社が負担していたということで、特捜部は入試をめぐる不正や癒着の実態解明を進めています。

文部科学省科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者(59)は、私立大学の支援事業で東京医科大学に便宜を図る見返りに、受験した息子を不正に合格させたとして、今月4日、受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

関係者によりますと、佐野前局長が便宜を図る見返りに東京医科大学の臼井正彦前理事長(77)や鈴木衞前学長(69)が前局長の息子の入試の点数を大幅に加点するよう学内に指示していたということで、特捜部は勾留期限の24日、前局長を受託収賄の罪で起訴するとともに、臼井前理事長と鈴木前学長についても贈賄の罪で在宅起訴するものとみられます。

佐野前局長はともに逮捕された医療コンサルティング会社の元役員、谷口浩司容疑者(47)を通じて臼井前理事長と知り合ったということですが、前局長の息子がことしの入試前に英語の勉強の一環としてフィリピンのセブ島を旅行した際、その費用を元役員の会社が経費として支出していたことが関係者への取材でわかりました。

前局長は、谷口元役員と家族ぐるみのつきあいがあり、飲食の接待のほか、ゴルフバッグの提供を受けたこともあったということです。

関係者によりますと前局長は「世話になっている谷口元役員から『面倒をみてあげて』と言われたので、大学側に助言したが当時は官房長で職務権限はなかった」などと供述し、容疑を否認しているということです。

特捜部は入試をめぐる不正や癒着の実態解明を進めています。

2018年7月23日 17時54分
NHK NEWS WEB
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