https://jp.reuters.com/article/swiss-crypto-idJPKBN1KD0KM

トップニュース
2018年7月24日 / 04:27 / 13時間前更新
焦点:仮想通貨先進国のスイス、銀行取引停止で事業流出か
[ニューヨーク/チューリヒ 19日 ロイター] - スイス規制当局は、仮想通貨関連の取引を行う数少ない銀行のうち2行が昨年同取引を停止したことを受け、仮想通貨プロジェクトの国外流出を防止するため対策を強化している。

2行による取引停止は、始まりにすぎないと業界筋は危惧しており、スイスが、リヒテンシュタインやジブラルタル、ケイマン諸島といった仮想通貨をもっと歓迎する海外のライバルたちにビジネスを奪われようとしていることを意味する。

スイスでは、仮想通貨関連の取引は伝統的な銀行業と比べればごく小さいものの、急成長しており、数百人の雇用を抱えていると当局者は言う。また、仮想通貨を支持する人たちは、同通貨について、世界金融の未来につながる重要なイノベーションと考えている。

例えば、裕福なツーク州は「クリプトバレー(仮想通貨の谷)」と呼ばれ、ここ数年で仮想通貨関連企業200─300社が設立されている。

もしスイス政府が銀行システムへのアクセスを許可しないのであれば、こうした仮想通貨企業は離れてしまうかもしれないと、同州の財務責任者であるハインツ・テンラー氏は指摘する。銀行システムを利用できなければ、これら企業が機能することは困難だからだ。

「銀行との取引を求めて、皆リヒテンシュタインに向かうだろう」と同氏はロイターに語った。「生み出された雇用の数は多く、どれも重要だ」

一部の仮想通貨企業から中央銀行の介入を求める声が寄せられたと、スイス国立銀行(SNB)のトーマス・モーザー代理政策委員は言う。

「銀行口座の開設に問題があることに懸念を示し、助けを求めてきた」と同委員はロイターに語った。「これはSNBが扱うことではないと私は答えた。FINMAと話すべきだ」

スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は、仮想通貨ベンチャー企業が銀行にアクセスしやすくする方法について、SNBと銀行協会と協議を行っている。

「そのようなイノベーション(仮想通貨)がもたらし得る機会への扉をわれわれは閉ざしたくはない」とモーザー氏は付け加えた。

仮想通貨を利用した資金調達手法「イニシャル・コイン・オファリング(新規仮想通貨公開=ICO)」を行ったり、銀行が仮想通貨企業と取引したりするための法的枠組みを提供することはそう簡単な話ではない。

詐欺のリスクや、ビットコインやイーサリアムなど仮想通貨の所有者に関する透明性の欠如といったことは、世界中の規制当局を警戒させている。米国は、仮想通貨への監視を強化している国の1つだ。
(リンク先に続きあり)