日銀は30、31日に開く金融政策決定会合で、大規模金融緩和の長期化に伴う副作用を軽減するため、長期金利の上昇を一定程度容認することを検討する。「0%程度」としている現行の誘導目標は維持した上で、金利の調節を柔軟に行い、より大きな変動を可能にする案が柱だ。ただし政策委員会内には、金融緩和を元の状態に戻す「出口政策」と受け止められることへの警戒もあり、調整が難航する可能性もある。

 副作用軽減策を検討するのは、大規模金融緩和のさらなる長期化が避けられないため。日銀は、会合でまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2018年度の物価上昇率見通しを前回の1.3%から1.0%程度に、19年度を1.8%から1.5%程度に、それぞれ引き下げる見通し。2%目標の達成時期が一段と遠のくことから、「政策の持続性を高めるため」との名目で副作用軽減策を議論せざるを得ない状況となった。

 現在有力となっているのが、0〜0.1%程度に抑えてきた長期金利の変動幅を広げることだ。日銀は国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」で金利上昇を抑え込んできたが、最近では日銀が国債を大量に買い入れている影響で債券市場の取引が激減。将来、市場で適切な価格形成ができなくなる懸念が高まっている。金利の変動幅が拡大すれば市場取引の活性化が期待できる上、長期金利が多少上向けば、超低金利による収益悪化に苦しむ銀行や生命保険会社の負担も一定程度、軽減できるとの計算だ。

 26日の東京債券市場では、日銀が金融政策を修正するとの観測から長期金利が上昇(債券価格は下落)。一時0.100%と、17年7月以来約1年ぶりの高水準になった。ただし会合では、大規模金融緩和継続を主張するリフレ派委員の反対も予想される。このため、日銀は政策修正を行う場合でも、金利誘導目標を維持し、「金融引き締めではない」と説明する方針だ。【土屋渓】

毎日新聞2018年7月26日 22時11分(最終更新 7月26日 22時11分)
https://mainichi.jp/articles/20180727/k00/00m/020/142000c