遊泳禁止となっている広島県坂町の海水浴場「ベイサイドビーチ坂」
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 西日本豪雨で土砂や木が海に流れ込んだり周辺インフラが被災したりしたため、少なくとも7府県の海水浴場で遊泳禁止や海開き断念などの措置を取ったことが31日、分かった。復旧作業を済ませ、既に再開したところもあるが、観光業への打撃は避けられない状況となっている。

 広島県坂町の海水浴場「ベイサイドビーチ坂」の砂浜には土砂が入り、流木やがれきが散乱。周辺の国道沿いの斜面が崩れ、通行止めになった。迂回路として海水浴場の駐車場が舗装され、国道復旧の工事車両が行き交う。砂浜の一角は国道から取り除かれた土砂の仮置き場になった。

 被災前の7月1日に海開きをしたが、県は遊泳禁止とし、今シーズンは解除しない方針。子供と砂浜を訪れた広島県熊野町の40代男性は「人気のある場所で例年この時期はにぎわうが、仕方がない」と話した。

 愛媛県西予市の「大早津海水浴場」も砂浜が削られ、一部を遊泳禁止にしたほか、兵庫県赤穂市の千種川河口にある「赤穂唐船サンビーチ」は砂浜がぬかるんでいるとして海開きを断念。広島県呉市の「狩留賀海浜公園」は土砂崩れで遊具の一部が壊れたため休園し、園内の海水浴場も再開の見通しは立っていない。

 このほか京都府や鳥取、徳島、福岡各県の一部の海水浴場も、豪雨の影響で一時的に利用できなくなった。

 広島県観光連盟の担当者は「(開設した海水浴場でも)災害直後で心理的にレジャーに行こうという動きが鈍くなっている」と指摘した。

 岡山県倉敷市の沙美海水浴場は約1週間かけて漂着物を取り除いた。だが、海の家を営む原田治彦さん(76)は「客足は例年の半分にも満たない。もう諦めている」と声を落とした。〔共同〕

2018/7/31 9:30
日本経済新聞
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