◆ミャンマー、日韓対象に観光ビザ免除 ロヒンギャ迫害で欧米からの旅行客が急減

ミャンマー政府は10月1日から1年間、日本人と韓国人を対象に観光ビザ(査証)取得を免除する。
ミャンマー国軍によるイスラム系少数民族ロヒンギャ迫害を懸念して欧米からの観光客が急減しており、かわりに東アジア地域からの観光客を増やす狙いだ。
中国人については、ミャンマー到着後に空港で発行する到着ビザ制度を導入する。

軍事政権から民政に移管した11年にミャンマーへの旅行者は39万人だったが、17年には136万人に達した。
ミャンマーには仏教遺跡など豊富な観光資源があり、同国政府は観光を主要な外貨獲得源とみなしている。

ミャンマーのホテル・観光省によると、1〜6月の同国来訪者は68万人で前年同期比2%増にとどまった。
西欧からは26%減の約9万3千人、北米からが15%減の約4万人。

一方、中国人は36%増の13万人。日本は約4万8千人、韓国が3万2千人で全体に占める割合は小さい。
だが、前年同期の水準を維持し、伸びる余地が大きいとミャンマー政府は判断した。

日韓への観光ビザ免除は1年間の試行措置。
従来は渡航前、ミャンマー政府にビザ発給を申請する必要があった。

乾期に入る10月の旅行シーズンにあわせて免除する。
現状では免除の条件として入国時に1人1000ドルの滞在費用の現金を所持するよう求めている。

だが、観光業界が「なお観光客の負担が大きい」と反発したため、クレジットカード提示などの代替策を検討する方針だ。
これまで観光ビザを免除していた国は、ミャンマーを除き東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する国のうちマレーシア以外の8カ国だけ。

日本経済新聞 2018年7月31日 22:06
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO33644070R30C18A7910M00?s=2