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長崎原爆の日を前に祈り 9日の式典には安倍首相ら参列
田部愛 山野健太郎
2018年8月8日21時30分

 長崎は9日、73回目の原爆の日を迎える。長崎市の平和公園で開かれる平和祈念式典には、国連のグテーレス事務総長が初めて参列。田上富久市長は日本政府に対し、国連で昨年採択された核兵器禁止条約に賛同するよう求める。

 式典には、グテーレス氏のほか、安倍晋三首相や核保有国8カ国を含む71カ国の駐日大使らが参列する予定。国連事務総長としては、前任の潘(パン)基文(ギムン)氏が2010年に広島の式典に参列したが、長崎の式典には参列しなかった。
 式典では原爆投下時刻の午前11時2分に黙禱(もくとう)を捧げたのち、田上市長が平和宣言を読み上げる。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(86)が被爆者代表として「平和への誓い」を述べた後、安倍首相やグテーレス氏があいさつする。

 7月31日までの1年間に死亡が確認された3511人の名前が原爆死没者名簿に書き加えられ、記された人はあわせて17万9226人になった。(田部愛)
「オラショ」を聖歌に合わせ

 長崎市松山町の爆心地公園で8日夜、原爆殉難者慰霊祭があった。キリスト教や仏教、神道など様々な宗教の聖職者が集う長崎県宗教者懇話会が主催し、今年で46回目。原爆犠牲者を追悼し、世界平和を祈った。

 慰霊祭冒頭、「かくれキリシタン」の指導者が鎮魂のため、独特の祈りの言葉「オラショ」をキリスト教の聖歌に合わせて捧げた。今年6月、長崎、熊本両県の「潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産登録されたことを受けたもので、声楽家の独唱とオラショが爆心地に響き渡った。

 爆心地に近い浦上地区のカトリック信徒の多くも、潜伏期にはオラショと同じような祈りを捧げていたと考えられている。(山野健太郎)