【ワシントン時事】トランプ米大統領の人種差別的な言動が、米国社会の分断を助長していると批判されている。人権団体などによると、人権や宗教差別などに基づく「ヘイトグループ(憎悪集団)」や「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」は現政権下で増加した。それでもトランプ氏は意に介さず、新たに米プロバスケットボール協会(NBA)のスター選手にも侮蔑の言葉を投げつけた。

 トランプ氏は昨年1月の就任以降、白人至上主義者に肩入れするような発言で批判を浴びた。アフリカや中米諸国を侮辱し、ハイチからの入国者は「全員エイズ患者だ」と述べたとされる。

 カリフォルニア州立大サンバナディーノ校の調査では、米国の10大都市における2017年の憎悪犯罪件数は前年比12%増加し、過去10年間で最悪を記録。人権団体「南部貧困法律センター(SPLC)」によれば、17年に米国内で差別活動を行った憎悪集団も前年から4%増えた。

 公民権運動団体「全米黒人地位向上協会(NAACP)」は「トランプ大統領は選挙戦から分断と憎悪の言葉を吐き出してきた」と指摘。トランプ氏の言動や政策が憎悪犯罪の増加と直接関係があると批判する。

 トランプ氏は今月上旬、NBAのレブロン・ジェームズ選手をインタビューしたCNNテレビの黒人司会者ドン・レモン氏を「テレビ業界で最も愚かな男」と罵倒。さらに「彼はレブロンを賢くみせた。容易ではないことだ」と同選手にも矛先を向けた。

 レモン氏は「大統領は常に有色人種や女性をばかにしてきた」と反発。その上で「黒人は知性が劣っているとの中傷は、米国の人種差別の過去と現在において最も使い古されたデマだ」と非難した。

2018/08/09/14:19
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018080900713