徳島市の遠藤彰良市長は10日、旧主催者の赤字問題で混乱が続く阿波おどりが12日に開幕するのを前に、千人以上の踊り手が一つの演舞場に集まって踊る「総踊り」の中止に反発して会場以外での独自開催を示唆している有力な踊り手団体に対し、自粛を求める文書を送ったと明らかにした。

 踊り手団体は10以上の踊りや楽器のグループ「連」が所属する「阿波おどり振興協会」。昨年まで阿波おどりを主催していた市観光協会を除外して発足した市を中心とする新実行委員会は今年、複数ある演舞場に踊り手と観客を分散させ入場料収入を増やそうと、人気が集中する総踊りの中止を決めていた。

 文書は「多くの人出が見込まれ、演舞場以外で大規模な踊りを実施することは、さまざまな危険性が生じる可能性が高くなる」と指摘、阿波おどり振興協会に「規律ある行動」を求めている。記者会見した遠藤市長は「雑踏事故でけが人が出たら危ない」と述べた。

 市によると、観覧席などのチケットの販売率は7日時点で昨年の同時期に比べ9%低い約51%にとどまっている。市は「曜日の配列が悪いことや、赤字問題などのネガティブな報道が影響した」と分析。昨年は当日券を含め、最終的に84%が売れた。

2018.8.10 20:57
産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/180810/wst1808100082-n1.html