世界かんがい施設遺産に登録が決まった五郎兵衛用水を眺める根沢館長=14日、佐久市甲
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 歴史・技術・社会的価値のある世界のかんがい施設を認定する「世界かんがい施設遺産」の一つに、佐久市の「五郎兵衛用水」の登録が決まった。県内からの登録は茅野市の「滝之湯堰(せぎ)・大河原堰(せぎ)」、安曇野・松本市の「拾ケ堰(じっかせぎ)」に続く3件目。

 五郎兵衛用水は、江戸初期の1631年、市川五郎兵衛真親(さねちか)(1571〜1665年)が私財を投じ整備した。現在の総延長は13・3キロ(建設時20キロ)で、かんがい面積は416ヘクタール。蓼科山の湧き水を水源とし、厳しい地形に合わせて高さ約1・5〜2・4メートルの盛り土やトンネル、水路橋などの技術を駆使した。現在はブランド米「五郎兵衛米」の産地になっている。

 佐久市甲の佐久市五郎兵衛記念館は当時の古文書の保存、研究を行っている。登録決定を受け、根沢茂館長(65)は「人々のために尽力した市川五郎兵衛の優しさ、美しさをもっと多くの方々に伝えたい」と話した。

 世界かんがい施設遺産は、国際かんがい排水委員会(本部・ニューデリー)が2014年に創設。建設から100年以上たち、かんがい農業の発展に貢献したり、卓越した技術で建設したりした施設を認定している。

 同委員会は今回、五郎兵衛用水を含め国内4施設の登録を決め、国内の登録は計35施設となった。都道府県ごとの登録数では長野県、愛知県、大阪府、熊本県の3件が最多。【鈴木健太】

毎日新聞 2018年8月17日
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関連:信濃毎日新聞|佐久の五郎兵衛用水 世界かんがい施設遺産に
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