トラクターの自動操舵(そうだ)装置と、運転を支援するGPS(衛星利用測位システム)ガイダンスシステムの2017年度の出荷台数が過去最多になったことが、北海道の調査で分かった。人手不足が深刻化する中、作業負担の軽減などを見込んで導入されたのが主な要因とみられる。今後も府県も含め、導入数は増える見通しだ。

 GPSガイダンスシステムは、トラクターなどに装着し、圃場(ほじょう)内での走行路をモニター上に表示する製品。正確、効率的な作業が見込め、省力化につながる。

 出荷台数は17年度、計2910台と、統計を取り始めた08年度以来の最多となった。そのうち、北海道向けは76%と、導入をけん引した。08年度からの累計出荷台数は1万1500台で、8割が北海道向けだ。

 GPSガイダンスシステム以上に省力化が見込めるトラクターの自動操舵装置の出荷台数も同年度で過去最多の1770台だった。08年度以降の累計出荷台数は4800台で、このうち92%が北海道向けとなった。

 こうした機器について、メーカー担当者は「北海道では通信環境の整備が進んだことや、利用者が増えて導入のハードルが下がったことなどが要因」とみる。

 自動操舵装置の新規販売が多かった別のメーカー担当者は「府県でも、担い手世代を中心に導入が増えた。家族経営でも使っており、疲労軽減や、初心者でも熟練者並みの作業ができるところが受けている」と指摘した。

 今後とも北海道を中心に、府県でも導入が進む見通しだ。道は「北海道内では、1戸の農家で複数台持つケースが増えた。規模拡大が進む中、少ない人数で適期に作業するために必要性が高まっている」(技術普及課)とみる。

 道が聞き取り調査した企業は、GPS機器を扱う井関農機、クボタ、クロダ農機、ジオサーフ、トプコン、ニコン・トリンブル、日本ニューホランド、ヤンマーアグリジャパン、IHIアグリテックの9社。調査企業は、16年度より1社増えた。

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