2018年8月27日 17:03
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34631420X20C18A8LX0000?s=2

九州農政局は27日、九州農業の情勢をまとめた2018年版の報告書を公表した。新たにまとめた16年の農業産出額は15年比3.7%増と6年連続で増えた。肉牛価格が上昇した畜産部門が全体をけん引。野菜や果実も伸びた。ただ、耕作がされていない「荒廃農地」の面積も拡大。農産物の安定的な生産のためには、法人経営体などへの集約が引き続き課題となる。

九州の16年の農業産出額は1兆8204億円だった。44%を占める畜産が8047億円と、15年比4%伸びた。子牛の価格高騰などで肉牛価格が上がった。野菜の産出額は1%、果物は9%伸びた。

九州の農業産出額の直近のピークは1990年の2兆円超。全国で農業産出額が回復傾向にある地域は珍しい。

九州の港からの農林水産物(加工食品を含む)の輸出額は17年に858億円と、16年比で12%増えた。2年ぶりに過去最高を更新。12年からの5年でほぼ倍増した。ビールや日本酒などの酒類が大幅に増えたほか、イチゴをはじめとする野菜・果実も伸びた。

荒廃農地は16年に7万3333ヘクタールと、15年比で5%増えた。再生利用も進められているが、再生困難とされる農地が5万2402ヘクタールと16%拡大。高齢化を背景に、作物を生まない農地は着実に広がっている。

認定農業者数は17年3月時点で4万7449経営体だった。10年3月に比べ1割近く減っている。一方、比較的大規模な営農をしている法人経営体の数は4427と、10年前と比べて2倍に増えている。

九州農政局は18年版から、従来の「九州食料・農業・農村情勢報告書」を刷新。一般の人や営農者がより親しみやすく、活用しやすく編集を見直したとして「見たい!知りたい!九州農業2018」として公表した。