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文科省汚職 やり取りの音声データを独自入手
2018年8月28日 4時29分東京医大

文部科学省の局長級の幹部が相次いで起訴された汚職事件で、NHKはともに起訴された医療コンサルタント会社の元役員と複数の省庁の官僚などとのやり取りを記録した25時間を超える音声データを独自に入手しました。この中には文部科学省の前局長と東京医科大学の前理事長との裏口入学をめぐるやり取りのほか、スポーツ庁の事業で担当の幹部らと何度も接触する様子などが記録されていました。

NHKが独自に入手したのは文部科学省をめぐる事件で贈賄などの罪で起訴された医療コンサルティング会社の元役員、谷口浩司被告(47)らが去年4月から9月にかけて複数の省庁の官僚などとのやり取りを記録した25時間を超える音声データです。

音声データには、谷口元役員らと文部科学省や総務省など複数の省庁の少なくとも5人の官僚とのやり取りが記録されています。

このうち、去年5月10日のデータには谷口元役員のほか、東京医科大学に便宜を図る見返りに息子を不正に合格させたとして先月、受託収賄の罪で起訴された文部科学省の前局長、佐野太被告(59)と東京医科大学の理事長だった臼井正彦被告(77)が東京都心の高級料亭で会食している様子が記録されています。

この中で臼井前理事長は直前の入試で不合格になった前局長の息子の試験結果を説明したうえで、「あと10点欲しかったですね」とか「来年は絶対大丈夫だと思います。ぜひうちに予約しておいでください」などと話していて、ことしの入試で息子の裏口入学を約束していたことをうかがわせる内容が記録されていました。

一方、臼井前理事長は前の年に落選した文部科学省の私立大学の支援事業の選定で便宜を図ってもらうことを佐野前局長に求めていて、前局長は申請書類の書き方について「要はどうやってだますかです」などと述べていたほか、担当の職員を大学側に紹介することを約束したうえで、「私の名前は絶対に言わないで」などと口止めする様子も記録されていました。

谷口元役員は去年4月に発足したスポーツ界のコンプライアンスの向上を目的にした団体の設立にも関わり、昨年度、スポーツ庁の事業をおよそ400万円で受注していましたが、音声データの中にはこの事業の公募が締め切られる直前にスポーツ庁の幹部らと何度も接触していた様子も記録されています。

この中で谷口元役員はスポーツ庁の幹部から提出する企画書の書き方について指南を受けていたほか、公募締め切りの前日にはスポーツ庁の幹部が「募集枠がトータル3件のところに4件出てきそうな感じ」と述べるなど、ほかの団体の募集状況を谷口元役員に事前に伝えている様子も記録されていました。

25時間を超える音声データからは、谷口元役員が官僚との接触を繰り返し、みずからが進める事業を有利に進めようとしていた実態が浮かび上がっています。