国内全体では減少傾向の結核患者が、外国人で急増している。昨年の登録患者は1530人で5年間で1・4倍に。外国人の占める割合は、この20年で2%から9%に拡大した。結核の多いアジア諸国から仕事や留学で来日する人の増加が背景にあるとみられ、専門家は診療体制の整備の重要性を指摘する。

 厚生労働省が28日、発表した。2017年の国内全体は前年より836人少ない1万6789人。6割が70歳以上だった。一方、外国生まれの患者は前年より192人、12年より461人増えた。20代が半数以上を占める。

 結核は、結核菌がせきやくしゃみで空気感染し、主に肺で増えて発病する。世界保健機関(WHO)によると、世界の死亡原因のトップ10の一つで、16年は新たに1040万人が発症し、170万人が死亡している。

 国内の外国人患者は、結核が広がるフィリピンや中国、ベトナム生まれが多い。これらの国から技能実習や留学で日本に入国する人が増えており、結核予防会結核研究所の加藤誠也所長は「発症した状態で入国したり、劣悪な環境で生活する中で発症して感染が広がったりするケースがある」と語る。

 また、言葉や経済的な問題から適切な医療が受けられていないという課題もある。医療通訳派遣に協力するNGOシェア(東京都)副代表の沢田貴志・港町診療所長は「早期発見できれば、通院しながら治療できる。受け入れる以上、外国人への診療体制の整備も進めていく必要がある」と話す。

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朝日新聞デジタル
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