https://mainichi.jp/articles/20180830/k00/00m/040/171000c

文科省
教員勤務時間、年間で管理 休み期間は上限下げ
毎日新聞 2018年8月30日 07時30分(最終更新 8月30日 07時30分)

 文部科学省は、公立学校に勤務する教職員の労働時間を年単位で管理する「変形労働時間制」を導入する方針を固めた。春先や年度末など繁忙期の勤務時間の上限を8時間から10時間に延長する一方、夏休み期間などは短くして学校閉庁日を設けやすくすることで、増加傾向にある時間外勤務を抑制する狙いがある。

 文科省は近く、教員の働き方改革の方策について議論する中央教育審議会(中教審)の特別部会に変形労働時間制の導入案を示す。
 変形労働時間制は労働基準法に基づく制度で、平均8時間であれば年や月単位で1日の労働時間を使用者が設定できる。年単位の場合は上限の10時間となる月や、逆に6時間に短縮される月もあり、休暇を取得しやすくなるとされる。製造業や宿泊業など繁忙期と閑散期がはっきりしている業種で採用されることが多い。

 教職員にも労基法が適用されるが、年単位の変形労働時間制は教職員給与特別措置法(給特法)の規定で適用外となっている。文科省は教育委員会や学校が労働時間を柔軟に設定できるよう、給特法の改正を目指す。基本給の4%を「教職調整額」として支払う代わりに残業代を原則支払わないとする規定は残す見通し。

 文科省の調査では、2016年度に公立中学校の教員の6割、小学校の3割が過労死ライン(時間外勤務が月80時間)を超えて働いていた。年度初めや成績処理のある学期末など繁忙期のある業種にもかかわらず、労働時間が年間を通じて一律であることが、こうした業務実態の一因との指摘もある。

 教職員は夏休みも部活動指導や研修などの業務があるため、文科省は学校閉庁日を増やして有給休暇を取得しやすい環境を整備する。一方で時間外勤務を抑制するため、教職員が担うべき業務の見直しも進める。【伊澤拓也】