初公開される長谷川軍記日記。幕末期の洛南の農村の暮らしが詳述されている(京都市南区・長谷川家住宅)
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 幕末期の東九条村(現京都市南区)の豪農・長谷川軍記が30年近く書き続けた日記が1日〜12月2日、南区の国登録有形文化財の長谷川家住宅「長谷川 歴史・文化・交流の家」で公開されている。昨年、新選組の動向を記した新史料として注目された日記で、当時の農村の暮らしぶりも詳述されている。一般公開は初めて。

 日記は、軍記が当主となった1845年から死去した1871年までに書いた計27冊。冊子は縦12センチ、横34センチで1年ごとに記入されている。内容の一部を抜粋したパネルも展示する。

 軍記は農民だが、公家の家来を一時務めていた。日記には侍姿で夜明け前に公家屋敷に出勤したことや、公家と決裂して免職されたことなどが記され、当時の農民と公家の関係性もうかがえる。

 通説では、江戸時代に誕生日を祝う習慣は一般的にはなかったとされるが、毎年自分の誕生日を赤飯で祝ったとの記述もあった。当時、四条橋東詰にあった北座や南座まで芝居見物に出かけたことや、村で悪病よけの踊りが流行したことなども書き残している。

 禁門の変が起きた1864(元治元)年の日記には、東九条村に新選組と会津勢が下宿し洛中に攻め上る長州勢を警戒、撃退したことも記されており、昨年、新史料として注目された。展示では、当時の会津藩兵の軍勢行列図や、下宿の謝礼として会津藩から送られた花鳥図も紹介する。

 展示を監修した伊東宗裕佛教大非常勤講師は「当時の洛南の農村の様子や軍記の人柄も分かる貴重な史料」としている。

 開館は毎週土日・祝日午前10時〜午後4時。11月23日休み。大人800円。9月9日、10月14日、11月11日に伊東氏が、10月20日には地元農家田中和久氏がそれぞれ講演する。問い合わせは同交流の家。

京都新聞 2018年09月01日 17時00分
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