札幌市内で震度5強の揺れが観測された6日早朝、市の中心部では停電が発生し、建物内から路上に出てきた人々が不安と戸惑いの表情を浮かべた。水や食料を買い求める客がコンビニエンスストアに長蛇の列をつくった。

 20代の学生の伊藤夏帆さんは「友人とカラオケをしていたら地震が起きた。その後停電になり、どうしようもないので取りあえず店を出たところ」と周囲を見回した。

 市内のオフィスでパソコン作業をしていたというシステムエンジニア(SE)の滝本秀一さん(56)は「1人だったので不安だった。仕事も続けられないが家に帰っていいのかも分からないので、ひとまず大通公園で電話がつながるまで待機している」と話す。

 友人と食事をしていたというサービス業の田中健二さん(36)は「市内の立体駐車場に車があるが、停電で出せない」と困惑。「ひとまず待機して様子を見るが、本当はすぐにでも帰りたい」とこぼした。

 市内のセブンイレブンには水やおにぎり、ウエットティッシュなどを買い求める客が相次いだ。20代の店員は「3時台には冷蔵食品と充電器が売り切れてしまった」。店に来た50代の女性は「何かの備えに水とパンを購入した。充電器も欲しかったが、売り切れで困っている」と落ち着かない様子だった。

 カップルで観光に訪れ、市内を回るつもりだったという20代の韓国人の男性は「地震で跳び起きた。食べ物を買いに来たが、もうほとんど残っていない。飲み物で我慢するつもり」とため息をついた。

 市中心部にある百貨店、丸井今井札幌本店も停電し、店の前では従業員ら10人ほどが待機していた。店内の鮮魚店で働く男性は「予備電源などを警備の人が確認してくれているが、冷凍庫に残してある魚が心配」と話していた。

2018/9/6 6:29
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35042850W8A900C1CC0000/?n_cid=DSTPCS001