「芦屋のセレブになりたかった」

調べに対し、女はこう供述しているという。
関西の高級住宅街、兵庫県芦屋市に住んでいるように装い、運転免許証の再交付を受けたとして、自称和歌山在住のアパレル業、音楽業の女(29)が9日、免状等不実記載の疑いで同県警芦屋署に逮捕された。
女は4月20日、神戸市中央区の神戸優良・高齢者運転免許更新センターで、申請書に芦屋市内の赤の他人の住所を勝手に記入して提出し、免許証の再交付を受けた。

「再交付の手続きは住民票がなくても、電気やガス、水道料金の請求書など、公的機関が発行する請求書があれば申請を受け付けてくれる。
何を使って申請したんかは捜査中やが、再交付やから、裏面に新しい住所を書いてハンコを押したもんやなくて、表面にウソの住所が普通に記載されとった」(捜査事情通)

今年の春ごろから免許証に記載された住所に女宛ての手紙がたびたび届くようになり、“本当”の住民が不審に思っていた。
そして逮捕の前日(8日)、見覚えのない女が家の前に立っていたので、住民が声をかけようとしたところ、女の方から「私宛ての郵便物が届いてませんでしょうか」と話しかけてきたため、「おまえか」となり、110番通報。

「免許証を見たらウソの住所になっとるし、『おまえ、住んでへんやろ、一体、誰や』いうことになった。
もともとアパレル会社に勤めとったそうやけど、『副業のシンガーソングライターの仕事が忙しくなって辞めた』とか言うとった。
ただ、芦屋いうても金持ちがぎょうさん住んでる六麓荘やなく、海に近い埋め立て地の住所なんや。
女はいっぺんも芦屋に住んだことはなく、本人いわく『自分のイメージに合ったところにした。番地は適当に書きました』と言うとった。
その話を信用するなら、たまたまその番地の家があったいうことや。
遠目から見たらきれいな感じやし、服装やって『芦屋マダムです』っていわれたら、『そうなんや』いうくらい、品はええ方ちゃうかな。
けど、やたらと話は飛ぶし、シンガーソングライターの件も含めてどこまでホンマで、どっからウソか分からへん。
そもそも住所を偽っとったんやからな」(前出の捜査事情通)

女は「プライドと見えで、違う住所を書きました。芦屋を気に入り、セレブになりたかった」と話しているそうだ。

近隣住民がこう言う。
「歌手やって? そんなん聞いたことないわ。(女は)独身で、幼い息子さんがおる。
ご両親は数年前に離婚し、地元で嫁いだ妹さんと2人姉妹やわ。
人は大学を出てから上京し、夜の商売をしとったらしい。息子の父親とはうまくいかんかったみたい。
おじいさんは元町長さんで、実家はリッパな家やで。今は、お父さんとおばあちゃんが2人で暮らしとる。
(女は)たまに帰ってきてるけど、そういう仕事をしとったからか、派手目の雰囲気かな」

女は“ウソの免許証”を悪用して他の犯罪を起こそうとしたわけではなく、ただ単に、芦屋で住民登録をするのが目的だったようだ。
が、なぜ、そこまで面倒なことをする必要があったのか。

普通に引っ越せば済む話なのに……。

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