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ツイッターに書き込みの裁判官 分限裁判で異例の会見
2018年9月11日 18時57分

ツイッターに裁判の当事者を傷つける内容の書き込みを行ったとして、懲戒を申し立てられた東京高等裁判所の裁判官の処分を審理する裁判が、11日、最高裁判所で行われました。裁判官は「表現の自由の侵害だ」と争う姿勢を示し、現職としては異例の記者会見を開いて反論しました。
懲戒を申し立てられたのは、東京高等裁判所の岡口基一裁判官(52)です。

岡口裁判官はみずからが担当していない裁判についてのツイッターへの書き込みで裁判の当事者を傷つけたとして、ことし7月に東京高裁から懲戒を申し立てられ、11日、最高裁判所で開かれた裁判官の処分を審理するための「分限裁判」に出席しました。

裁判は非公開で行われましたが、岡口裁判官は「ツイッターの利用は表現の自由そのものだ。高裁の長官が全面的にツイートを禁止しようとし、従わなければ懲戒を申し立てることは表現の自由の侵害で、裁判官の独立をおびやかす」などと主張したということです。

このあと岡口裁判官は現職としては異例の記者会見を開き「懲戒の申立書には、当事者がなぜ傷ついたのかなど詳しいことが書かれていないので、反論ができず、適正な手続きではない。何がダメなのかルールを決めないと表現の自由が萎縮する」と訴えました。

「分限裁判」で懲戒にあたると判断されれば、戒告か1万円以下の過料となります。

審理は今月中に終わる見込みで、裁判官の表現の自由をめぐって最高裁がどのように判断するのか、注目されます。

岡口基一裁判官とは

岡口基一裁判官(52)は東京高等裁判所で民事裁判を担当し、ツイッターなどのSNSを使って積極的に情報発信を行う異色の裁判官として知られています。

ツイッターでは裁判に関する記事をリツイートして紹介していて、女子高校生が殺害された事件の裁判に関する書き込みで遺族から抗議を受け、ことし3月に東京高裁から厳重注意処分を受けました。

また、ことし5月にはみずからが担当していない飼い犬の所有権をめぐる裁判について、ツイッターに「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら」と書き込んだことに対し、当事者から東京高裁に抗議があったということで、裁判の当事者を傷つけたとして、東京高裁から最高裁に懲戒を申し立てられました。

今回の分限裁判について岡口裁判官は、みずからのブログに最高裁に提出した書面を載せるなどして、裁判所当局を批判する主張を発信しています。

ツイッターでは裁判関係の発信以外にも、みずからの白い下着姿の写真も投稿して注目を集めました。

岡口裁判官のツイッターのアカウントは現在、凍結されています。

一方で民事裁判に関する数々の専門書の著者としても知られています。

SNSを使ってプライベートな情報や裁判に関連する見解を積極的に情報発信している岡口裁判官は異色の存在として知られています。