2時間半、立ちっぱなしで腕を振るった。自家製のあんずジャムとハチミツをふんだんに使った「あんずとハチのケーキ」。アーモンドの粉末や砂糖をペースト状にした「マジパン」でミツバチを作り、梱包(こんぽう)材の「プチプチ」をハチの巣に見立ててデコレーションした。甘酸っぱい風味と黄色と白の鮮やかな色合い。「大人顔負けのアイデアだ」「このまま店頭に並べられる」…。審査員の高評価にも「飾り付けの時間が足りなかった。出来栄えは80点」と控えめだ。

8月下旬、東京都内で開かれた全国小学生パティシエ選手権で、初出場で3位に輝いた。子どもたちが腕前を競う国内でも規模の大きなコンクールだ。今回は683作品が応募。レシピなどの書類審査を通過した10人が挑戦した。

 福岡市内でお菓子教室を主宰する母真子さんと一緒に、3歳ごろから卵を割ったり、生地をこねたり。「気がつけば、食べるよりも作るのが好きになっていた」。休みの日は、真子さんとマカロンやプリン作りに没頭する。「甘すぎ」「ちょっとかたい」。毎回、厳しく批評し合う。

選手権への出場は「人前で作ることで、恥ずかしがり屋の性格を克服してほしい」と真子さんが勧めた。ミツバチを連想してレシピを創作。調理は数え切れないほど練習した。それだけに「3位は悔しい」と語る。「来年も出場して優勝したい」と誓う。

 将来の夢は今のところ、パティシエではなく本の編集者。読書も大好きだからだ。「お菓子の漫画を編集してみたい」。福岡市立当仁(とうにん)小4年生。10歳。

=2018/09/16付 西日本新聞朝刊=

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