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 企業などがインターネット上の匿名の書き込みで名誉を毀損きそんされたとして、プロバイダー(接続業者)に対し、投稿者の氏名などの開示を求める訴訟が相次いでいる。プロバイダーは、投稿者の「表現の自由」や「通信の秘密」を守る立場から、簡単には開示できないためだ。根拠のない中傷か、認められる口コミか。裁判所の判断も分かれている。

 ◆風評被害

 「社長はワンマン」「一般社員が話しかけることを禁止している」

 大手転職情報サイトに2年前、四国の機械メーカーの従業員だとする人物から、そんな書き込みがあった。会社は「事実無根」として投稿者の氏名や住所などの開示を求めたが、プロバイダーが応じなかったため、高松地裁に提訴。昨年8月の判決は請求を認め、情報の開示を命じた。

 一般的に開示の可否は、名誉毀損が成立するかどうかで判断される。

 最高裁の基準では、相手の「社会的評価を低下させた」場合が、これにあたるとされるが、▽公共の利害に関係する▽公益目的である▽真実もしくは真実と信じる相当な理由がある――の三つの要件を満たせば違法ではないとされる。

 四国の会社に関する投稿について高松地裁は、三つ目の「真実相当性」がなかったと判断した。会社の代理人を務めた弁護士は「地方の中小企業は人手不足。風評被害で採用活動に深刻な影響が出かねず、死活問題だった」と振り返る。

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2018年09月18日 14時28分
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