中島さんが収集してきた文書の中には、「窃盗」と書いて「しのび」と読むものも多いが、「特に時代が変わり、平和な江戸の世になってからは、
『正しい人』として大名に仕官(雇ってもらうこと)してもらわなければならない。甲賀と伊賀では『善人』として、正義の側で技を使うことが重視された」という。

また、江戸時代の忍者にとって大切な技術であるはずの「火器」の解説は、万川集海では21巻と22巻、つまり序列の最後に収められており、
しかも火術は忍術の本源ではない−としているところが興味深い。

万川集海は「源は則、陰陽両術の深理をもって輙(たやす)く敵城へ忍び入り、忽然(こつぜん)として敵を挫(くじ)くの術なり」と説き、わざわざ「
巻末に附すのみ」としている。中島さんは「忍者の基本は『忍び込む』『逃げる』『隠れる』。けがをせずに任務を果たし、やむを得ない場合にのみ
戦って生き延びる。そんな理想の姿をかいまみることができる」と話す。
https://www.sankei.com/west/news/170315/wst1703150002-n4.html