https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180923-35126013-cnn-int
 米国防総省は23日までに、外国政府が関与するサイバー攻撃への米軍の対応をより積極的にし、先制攻撃に踏み切る
権限の拡大なども盛り込んだ新たなサイバー戦略を策定した。

マティス国防長官が承認し、署名した。同省は新たな戦略を「前方防衛」と形容。
選挙制度や電力網を防衛するためサイバー攻撃の出所での活動を中断、停止させる権限を軍に与えるとした。
また、先制攻撃でより決定的な打撃力を持つ戦力を構築する考えも示した。

「前方防衛」の概念は2015年に公表された前回のサイバー戦略には含まれていなかった。

外国政府が背後にいるサイバー攻撃は、第三国を攻撃する前、別の国にコンピューターネットワークを構築するのが通常の手口となっている。
ロシアが米国を攻撃するためにドイツ内のコンピューターを用いるといった形となる。

今回のサイバー戦略の策定を受け、米軍は友好国に設けられたネットワークに対してさえ自らの判断で攻撃が仕掛けられる
より広い権限を握ることになった。
これまでは米情報機関「国家安全保障局(NSA)」が西欧の1国でロシアがコンピューターネットワークを築いていることを察知しても、
何らかの行動に出る前はホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の判断を待つ仕組みとなっていた。
ただ、新たなサイバー戦略に基づく米国によるサイバー攻撃は公共的なインフラ基盤などを標的にしていない。
平和時にこれら施設に損壊を与える行為は国連合意で禁止されていることに配慮している。

トランプ政権の発足後、サイバー攻撃における米軍の権限を強化したのは今回で2度目となった。
NSCは最近、米軍のサイバー軍司令部に反撃実行の面でより自由な裁量を付与していた。

外国政府が絡むサイバー攻撃による一般市民の生活への脅威は近年、高まっている。今年11月の米中間選挙をロシアが妨害するとの懸念も出ている。
ウクライナで15年に発生した大規模停電は、ロシアによる電力基盤網への前例のないサイバー攻撃が原因とも断定された。
また、北朝鮮は16、17両年、バングラデシュの中央銀行にサイバー攻撃をかけ、総額8100万米ドルを奪ったとされる。