9/25(火) 6:04配信
琉球新報

 「本島東海岸を走る路線バスが速度超過を繰り返している。乗っていて危ないと何回も感じた」―。読者から本社編集局に情報が寄せられた。話によると、かなりのスピードを出して走るバスは、急ブレーキも頻繁だという。公共交通の路線バスが一般道で飛ばすことがあるのか? 8月中旬、取材班は読者が寄せた情報を基に、那覇発名護行きのバスに乗った。
 日を変えて3回乗車した。そのうち1回は東海岸の国道329号で制限速度50キロの道路を80キロ以上で走るのを体感した。急ブレーキを踏むこともあり、乗客が運転手に速度超過について苦情を言う一幕もあった。なぜこのような危険運転がまかり通るのか。取材を進めて見えてきたのは、路線バスを取り巻く厳しい環境だった。

 記者が乗り込んだバスは、帰宅ラッシュ直前の平日午後5時10分台に那覇市泉崎を出発する便だ。このバス会社が公表する運行時刻表(ダイヤ)によると、終点の名護バスターミナルまでの所要時間は2時間52分となっている。

 時間通りに始点を出発したバスは、バスレーンを走行し那覇市を出るまでは順調に進んでいたが、その後は遅れ気味になった。中部の渋滞がひどく、ダイヤはうるま市の安慶名停留所では約20分遅れとなった。

 いよいよバスは問題の東海岸に差し掛かる。うるま市から金武町に入ると、これまでとは打って変わって車の数がまばらになった。遅れを取り戻すかのようにバスは段々とスピードを上げた。道路の制限速度は50キロだが、ついに速度メーターは80キロを超えた。停留所に止まるために急ブレーキが踏まれ、客が床に置いていた荷物が倒れて中身が飛び出した。

 沖縄市から乗っていた子連れの父親は、降車間際に「安心して乗れないよ」と運転手に苦情を述べた。記者も同感だった。

 その後、乗客が少なくなってくると、運転手は「飛ばしても飛ばしても間に合わないよ」と疲れた様子でつぶやいた。その言葉通り、バスは定時から約25分遅れて午後8時半ごろに終点に到着した。

 この日、記者は金武町内で2回、80キロ超えを確認した。制限速度30キロオーバーは赤切符が交付され、一発で免許停止となる場合がある。

 記者は別の日に同系統の那覇発名護行き、名護発那覇行きに乗ったが、その際は極端な速度超過は確認できなかった。ただいずれも定時から約25分遅れで終点に到着した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180925-00000004-ryu-oki