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メイ首相、ブレグジット案固持 EUは「英国に敬意払うべき」
2018/09/25 2時間前

英国の欧州連合(EU)離脱をめぐって7月に閣内合意した通称「チェッカーズ案」に批判が集まる中、英首相官邸は内閣がこの案を全面的に支持していると強調した。

英・EUは、11月までにブレグジット(英国のEU離脱)条件や将来の協力関係についての枠組みについて協議し、合意したい考えだ。

しかしEU側は、チェッカーズ案は人やサービスを含めた単一市場を目指すEUの方針に反している主張している。

これに対してテリーザ・メイ首相は21日、EUは英国に「敬意」を持って交渉に当たるべきだと強く批判する演説を行った。
その一方、国内ではチェッカーズ案を廃止し、EUとカナダの通商協定に近い「カナダ型」に変更するよう圧力が強まっている。

今年7月に英首相の公式別荘「チェッカーズ」で閣内合意に至った「チェッカーズ案」は、モノの移動にのみEUの共通ルールブックを適用し、EU域外から英国経由でEU加盟国に到達する輸入品にかかるEU関税を英国が徴収するというもの。

メイ首相は、北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理厳格化を避けるにはこの案が唯一の信頼できる方法だと主張している。

しかし欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)はEU首脳会談後の20日、「提案された経済協力枠組みはうまくいかないだろう」と述べた。
これを受けてメイ首相は21日、「離脱プロセスの中で、私はEUにひたすら敬意を払って接してきた。英国も同じことを望んでいる。このプロセスの末に良い関係が築けるかどうかは、それにかかっている」とEU側の態度を批判した。

「交渉の最終段階において、片方の提案を詳細な説明や対案なしで簡単に拒否することは受け入れられない」
「大きくかけ離れている」
メイ首相は、英国とEUはブレグジット後の経済関係とアイルランド国境をめぐる「防御策」という大きな2つの課題について意見が「大きくかけ離れている」と指摘した。

その上で、EUから長期的な関係として2つの提案を出されたと明らかにした。1つは英国が欧州経済領域(EEA)および関税同盟にとどまること、もう1つはEUと基本的な自由貿易協定を結ぶことだが、メイ首相はどちらも受け入れられないと話した。
EEAおよび関税同盟への残留は「国民投票を無駄にする」もので、自由貿易協定の締結は北アイルランドを「永久的に、アイルランド海を挟んで、英国の他地域から経済的に分離させてしまう」と説明している。

さらに、英首相であれば誰でもこの案は飲まないだろうと話し、「もしEU側が私がこれを受け入れると考えているなら、それは大きな間違いだ」と付け加えた。
「私は誰よりも、良い合意を求めている。しかし私は国民投票の結果をむげにはしないし、自分の国をばらばらにもしないと、EUは覚えておくべきだ」
メイ首相の主張に対しトゥスク常任議長は、EU首脳会談での英国の態度は「驚くほど頑固で、実際、妥協しない姿勢」だったと述べた半面、「万人のためにも、妥協はなお可能だと信じている」と話した。

閣内でもチェッカーズ案を擁護

中略

「カナダ型」とは?

・カナダとEUが7年間の交渉の末、2016年に結んだ包括的経済貿易協定(CETA)を基にしている
・ほとんどの貿易品から関税を排除しているほか、カナダ企業はEUの規則に自動的に組み込まれることなくEU市場に優先的にアクセスできる
・卵や鶏肉など一部食品は含まれない。また、サービスも一部しか対象とされていない。英国のEU離脱派は、この対象外領域を「さらに拡大」した形を望んでいる
・CETAはあくまでも貿易協定なので、英国は安全保障面などではEUと別の協定を結ぶ必要がある

(英語記事 May demands respect from EU in Brexit talks, May's cabinet 'fully behind' Brexit plan)