「旧姓での登記却下は女性活躍の妨げになる」と語る古家野晶子弁護士(京都市北区)
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 旧姓での役員登記を認めないのは人権侵害だとして、京都弁護士会所属の古家野晶子弁護士が25日、京都地方法務局に対し、申請却下の処分取り消しを求めて審査請求を行った。古家野弁護士の代理人によると、旧姓での役員登記を求める審査請求は全国初。請求が認められなければ、同法務局に処分取り消しを求める訴訟を京都地裁に起こす方針という。

 古家野弁護士は2008年に弁護士登録し、その後に結婚した。日弁連に旧姓を仕事で用いる旨の申請をし、14年7月の官報に職務上の氏名として旧姓が公告された。今年2月、弁護士法人の役員となるため、旧姓で記した「弁護士法人の社員となる資格証明書」の発行を日弁連に申請した。しかし、日弁連からは戸籍名での資格証明書の発行しか認められなかった。

 古家野弁護士は、京都地方法務局に戸籍名の証明書を提出した上で、旧姓で役員登記を申請。同法務局は4月、申請者名(旧姓)と証明書名(戸籍名)が合致しないことを理由に申請を却下した。

 古家野弁護士は、婚姻は私的な個人情報にもかかわらず、登記申請に戸籍名の使用を強いるのは憲法で保障されたプライバシー権の侵害と主張。また、商業登記法は戸籍名での申請を要件としておらず、職務上の氏名での申請を認めないのは、外部への公示を目的とした同法の趣旨にもそぐわないと訴える。

 京都地方法務局は「個別事案には回答できない」としている。法務省民事局商事課は「商業登記は原則、戸籍名でしか行えない。旧姓を希望する場合は、併記制度を利用してもらうしかない」としている。

京都新聞 2018年09月26日 10時30分
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