2018年10月4日 21時16分
去年、滋賀県の名神高速道路でスマートフォンを見ながら大型トラックを運転して5人を死傷させる事故を起こした元運転手の裁判で、2審の大阪高等裁判所は「危険な『ながらスマホ』をみずからの意思で行っており、強く非難されるべきだ」と指摘し、1審に続いて検察の求刑よりも重い判決を言い渡しました。

トラック運転手だった前田博行被告(51)は去年11月、滋賀県多賀町の名神高速道路で、スマートフォンを見ながら大型トラックを運転して多重事故を起こし、1人を死亡、4人にけがを負わせたとして過失運転致死傷の罪に問われました。

1審は検察の求刑を上回る禁錮2年8か月の判決を言い渡し、被告側が「刑が重すぎる」などとして控訴していました。

4日の2審の判決で大阪高等裁判所の西田眞基裁判長は「『ながらスマホ』に内包される危険が事故に直結した事案だ。単なる前方不注意ではなく、運転手が自らの意思で積極的にスマホを操作していて、強く非難されるべきだ」と指摘し、1審に続いて禁錮2年8か月を言い渡しました。

被害者の妻 スマホ運転やめてと涙の訴え
判決のあと、今回の事故で亡くなった会社員、水谷勇二さん(当時44)の妻が取材に応じ「事故で家族を失う悲しさ苦しさは、一生背負っていかなければいけません。スマホ運転の事故はただの事故ではなく、意思をもって起こしたものだということを多くの人に知ってもらい、加害者にも被害者にもならないよう心をもって運転してほしい」と涙ながらに語りました。
急増する ながらスマホ事故
ドライバーが運転中にスマートフォンなどの携帯電話を使っていて起きた事故は、ここ数年で急増しています。

警察庁のまとめによりますと、去年1年間に、運転中に携帯電話の画面を注視したり画面を見ながらボタンを操作したりしていて起きた事故は1012件と、平成24年からの5年間でおよそ1.8倍に急増しています。

また、ドライバーの携帯電話の使用が原因となった死亡事故は平成24年の1.6倍となる32件起きています。

内閣府は去年、運転中の携帯電話の使用について、18歳以上の男女3000人を対象にした初めての全国調査を行いました。

それによりますと、回答した人の86%が「運転中に携帯電話を使用すると処罰される可能性があると知っていた」とした一方で「走行中や信号待ちなど運転中に携帯電話を使用したことがある」と答える人も36%に上り、違法と知りながら使用してしまう人が少なくない実態が明らかになりました。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181004/k10011658501000.html