安倍晋三首相は5日、国の成長戦略を議論する「未来投資会議」(議長・安倍首相)で、意欲のある高齢者が65歳を過ぎても働き続けられるよう法改正を検討する方針を表明した。高齢者にできるだけ長く働いてもらうことで、年金などの社会保障費を抑制するとともに、人手不足を緩和して成長の底上げを狙う。2020年の通常国会への関連法案提出を目指す。

 首相は会議で「安倍内閣最大のチャレンジである全世代型社会保障への改革を議論する」と宣言。「生涯現役社会の実現に向け、65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた検討を開始する」と述べた。

 13年施行の改正高年齢者雇用安定法は、年金の支給開始年齢引き上げへの対応として、企業に希望者全員を65歳まで雇うよう義務づけている。企業は、定年の引き上げ▽定年後に継続雇用する制度の導入▽定年制の廃止−−のいずれかを講じなければならない。多くの企業は継続雇用制度を導入して、定年退職した高齢者を65歳まで再雇用している。

 未来投資会議では、現在65歳の継続雇用年齢を70歳まで引き上げることを検討する見通し。高齢化で社会保障費が膨らみ続ける中、政府は原則65歳としている公的年金の受給開始年齢を、70歳を過ぎてからにもできる制度改正も検討している。継続雇用年齢の引き上げにより、受給開始を遅らせる高齢者の増加につなげたい考えだ。また、多様な人材が就業できるよう、新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大など、雇用制度全般について話し合う。

 ただ、経済界からは65歳以上の雇用拡大について、総人件費の増加につながるといった懸念もあり、どの程度、強制力のある制度にするのか慎重に検討を進める。【横山三加子】

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