進まない証券マイナンバー=年末期限、周知強化が課題
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 株や投資信託などの取引に必要となるマイナンバー(社会保障と税の共通番号)の届け出が進んでいない。証券会社への提出期限が2018年末に迫る中、日本証券業協会は「多くの投資家に知られていない」と焦りを隠さない。19年度税制改正要望で優遇措置を求めるなど、制度の認知や理解の拡大を図る構えだが、マイナンバーへの警戒感も根強いだけに効果は未知数だ。
 日証協によると、証券会社の個人口座のマイナンバー取得率は6月末で47.7%と半分以下。日証協は「年末までに大きく取得率を上げるのは難しい」と明かす。大手証券関係者も「適切に管理されるのか心配だ、といった声をよく聞く」と浮かない顔だ。マイナンバー提出を理由に、取引をやめる人もいるという中で、届け出を一気に加速させるのは容易ではない。
 日証協は8月から、ホームページ上の広告を増やすなど周知を強化。税制改正要望では、投資家向けの告知促進策として、マイナンバーを提供した際の所得税の特別控除を盛り込んだ。
 マイナンバーは、証券会社に提供された後、税務署に伝えられ、投資家が確定申告した際の記録照合などに使用される。政府は16年、行政の効率化などを理由に、3年の猶予期間を設けた上で届け出を義務化。通知せずに期限を過ぎると「違法状態」(内閣府番号制度担当室)となる。ただ、罰則などはなく、届け出をしなくても、株式売買など取引への影響はないという。
 マイナンバーをめぐっては、生命保険で保険金などを受け取る際にも届け出が必要だが、件数は少ない。銀行の預金口座は、今年から任意で提出を求めることになっている。マイナンバーは金融取引で定着するのか。証券での成否が試金石となりそうだ。(2018/10/08-16:24)