http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4348?page=3
 そもそも、再エネ特措法の原案は2011年3月11日に閣議決定され、同年8月11日に自民党の修正案をほぼ全て取り入れる形で、
民自公3党の修正合意によって、現行の再エネ特措法が成立した(図2年表参照)。
 この国会審議による修正によって、FITの内容は、エネ庁の審議会における検討内容(再生可能エネルギーの全量買取に関する
プロジェクトチームによる「再生可能エネルギーの全量買取制度の大枠について」、買取制度小委委員会報告書 )、
それに基づく3月11日に閣議決定された原案と大きく異なったものとなった。
 とりわけ、費用負担の上限という考え方がなくなり、電源別規模別の買取価格が設定されることになったことが大きい。
効率性の観点を弱めたのは、国会である。
 費用負担の上限については、当初、賦課金単価は、「1kWhあたり0.5円を超えない範囲内の負担額(一般家庭150円/月)」と
海江田万里経産大臣(当時)が明言していた(衆議院本会議における法案趣旨説明答弁、2011年7月14日)。
しかし、衆議院で修正案が可決された(8/23)翌日、「政府提出法案では0.5円/kWhを超えない範囲内の負担額と考えていたが、
衆議院での修正の趣旨を踏まえる必要がある」「衆議院における法案修正を踏まえ、150円としていた負担額は上昇する可能性がある」
(海江田大臣による8/24参院本会議における法案趣旨説明答弁)としている。つまり、この上限に関して政治的な逃げ道が確保されたのだ。
ちなみに、14年度の賦課金単価は「0.75円/kWh」であり(図1)、既に当時議論していた上限を超えている。

電源別買取価格については、原案では、買取価格は1kWh当たり15〜20円、買い取り期間は15〜20年間で、太陽光発電とそれ以外の
再エネ電源の2種類に分けるだけで、太陽光発電以外には電源別の区別がなかった。しかし、修正案では、太陽光発電以外についても
再エネの種類ごとの設置費用に適正利潤を上乗せした価格設定を行うことになった。特に、法律の施行後3年間を利用拡大の期間として、
「調達価格を定めるに当たり、特定供給者が受けるべき利潤に特に配慮する(附則7条)」という修正を加えたことによって、
高めの買取価格が設定されることとなった。