絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの資源回復を進めようと、浜名湖の漁業者などで作る「浜名湖発親うなぎ放流連絡会」(浜松市西区)は、親ウナギを買い上げて遠州灘に放流する資金を集めるため、クラウドファンディングで資金提供を呼びかけている。目標金額は30万円で、募集期間は19日まで。連絡会は「うなぎという日本の和食文化を守るために協力をいただければ」としている。

静岡県水産資源課によると、ニホンウナギは河川などに生息し、産卵のためにマリアナ諸島沖付近まで向かい、その後、稚魚が海流に乗って河川などに戻ってくるとされる。しかし、最近は稚魚の量が減少し、1983年の県内の漁獲量が約4000キロだったのに対し、昨年12月〜今年4月は1231キロにとどまる。稚魚の乱獲や海流の変化などが原因とみられている。

 連絡会はクラウドファンディングで集めた資金で、産卵に向かう親ウナギが浜名湖の定置網漁などで漁獲された場合に買い上げ、遠州灘に放流したい考えだ。昨年は53万2000円が集まり、432匹(約173キロ)を放流した。クラウドファンディングは1口6000円〜10万円で、金額に応じて浜松うなぎ専門店の食事券などがもらえる他、協力者全員を親ウナギの放流体験に招待する。ウナギの放流は今月下旬以降に行う予定で、資金協力は「浜名湖発親うなぎ放流連絡会」のホームページからできる。

 連絡会の加茂仙一郎会長は「うなぎを食べれば幸せな気持ちになれるが、できれば今より価格を下げていきたい。そのためには今より資源を減らしてはいけない」としている。【松岡大地】

毎日新聞 2018年10月12日 09時39分(最終更新 10月12日 09時39分)
https://mainichi.jp/articles/20181012/k00/00e/040/230000c