弥生時代の人骨。下は貝の腕輪(レプリカ)がはめられていた様子=島根県出雲市の出雲弥生の森博物館で、山田英之撮影
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 出雲弥生の森博物館(出雲市大津町)で展覧会「黄泉(よみ)の穴の人骨−猪目(いのめ)洞窟遺跡発見70年」を開催しており、同遺跡から出土した弥生時代の人骨を見られる。博物館によると、奈良時代に作られた出雲国(いずものくに)風土記には、死者の世界への入り口「黄泉の坂・黄泉の穴」の記述があり、「夢でその場所に行くと必ず死ぬ」と伝わる。人骨が出土した洞窟は「黄泉の穴」ではないかといわれている。【山田英之】

 同市猪目町にある遺跡では1948年、漁船置き場を整備する工事中に弥生時代や古墳時代の人骨、縄文土器、弥生土器、土師器、須恵器、木製品、動物の骨などを大量に確認。旧大社町の歴史愛好家らで結成していた大社考古学会が調査にあたった。出土した人骨は20体分以上で、1体が弥生時代、その他は古墳時代とみられる。2〜3歳の幼児らしい骨も出土した。

 展覧会では弥生の人骨を含む5体を展示。弥生の人骨は、右腕に沖縄など南の海に生息するゴホウラ貝製の腕輪を6個はめていた。すぐ近くに弥生後期の土器片があった。頭蓋骨(ずがいこつ)は残っておらず、歯や骨格から50代男性とみられている。古墳時代の人骨のうち、1体は頭蓋骨から手足の骨まで残り、20代後半の男性とみられる。

 12月3日までの午前9時〜午後5時(入館は午後4時半まで)。火曜休館。観覧無料。

毎日新聞 2018年10月13日
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