アントニー・サットン『ウォール街とボルシェヴィキ革命』
http://amesei.exblog.jp/4291064/

<米公式文書と米財界人の回顧録を駆使した、真実のロシア革命史>

この本を、仮に日本語に翻訳した場合、これを読んだ人の反応は二種類に分かれるだろう。
一つは、信じられないとして思考停止する人々。もう一つは、「そうだったのか」として、世界史の裏側の秘密を的確に理解する人々である。
我々は世界史の授業で、ロシア革命は、レーニンとトロツキーという二人のボルシェヴィキ革命家によって、
社会民主党のケレンスキー内閣を倒したことで実現したと教わっている。しかし、それは物事の半分しか見ていない説明である。
ただのインテリだったレーニンやトロツキーが革命を資金もなしに実現できたはずがない。
革命には巨額の資金が必要である。彼らはどこからその資金を得ていたのか。

ロシア革命を描いた文学作品ではアメリカ人のジョン・リードJohn Reed という人物による「世界を揺るがせた十日間」(岩波文庫)という本が有名である。
この本をもとにつくられているのがウォーレン・ビーティ主演のハリウッド映画「レッズ」だ。このリードは、なぜロシアに行くことができたのか?

この二つの疑問にアントニー・サットンは明解な答えを出している。それも公式の一級資料を使っているので疑問の余地がない。
ロシア革命を成功させたのは、アメリカのウォール街の巨大銀行家たちの提供した資金だった。
つまり、ロシア革命はウォール街にとっての「投資案件」だったのである。
リードはモルガン財閥の出資している『メトロポリタン』という雑誌の記者だった。
彼自身はモルガンやロックフェラーなどの大財閥を批判する記事も書いていたのだが、リードはウォール街が求めていた革命PRのための人材として利用されてしまったわけだ。。。