シンガポールの投資ファンド傘下のソウルオブジャパン(東京・港)が三重県津市で生食用のサーモンの陸上養殖事業に乗り出す。
約170億円を投じ、生産・加工工場を建設する。

2021年に稼働を開始し、22年からの出荷を目指す。日本の企業と協業し、全国向けの販路を整備する。
同社のエロル・エメド社長が18日、三重県庁を訪れ、鈴木英敬県知事と前葉泰幸津市長との間で立地協定書を締結した。

エメド社長によると、陸上養殖で生産するのはアトランティックサーモン。トラウトサーモンと並び、すしネタの人気食材だが、日本ではノルウェーとチリからの輸入に頼っている。
同社の推計では、輸入量は年間9万トン近いという。

津市の工業団地内に建設する工場(床面積約7万平方メートル)の生産能力は年間約1万トン。
安定的な生産・供給態勢を整え、国内市場でのシェア拡大を狙う。

工場の着工は19年6月を予定。
従業員数は21年1月の稼働時点で約10人で、将来的には約130人を見込む。

プール内の人工海水を冷却する陸上養殖は、温暖な地域でも生産できる。
海水の浄化システムなどの技術開発で「クリーン」や「食の安全」をPRできる利点もあるという。
三井物産は千葉県で生食用のトラウトサーモンの陸上養殖に取り組んでおり、19年に初出荷を予定している。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36654010Y8A011C1L91000/