善光寺大勧進(長野市)の小松玄澄(げんちょう)・前貫主(かんす)(85)が貫主としての地位確認を求めた仮処分申請について、長野地裁(田中芳樹裁判長)は申し立てを却下した。決定は18日付。

 小松前貫主は、女性関係について月刊誌で報道されたことや女性職員への差別的発言で、善光寺周辺の25の宿坊でつくる天台宗「一山」と対立。2016年6月、本堂出仕停止などの通告がされた。この対立を重く受け止めた天台宗宗務庁の宗務総長が、善光寺大勧進貫主の勇退を条件に、本堂出仕停止を解除することを小松前貫主に提案した。

 提案に同意した小松前貫主は17年12月、辞任願を提出。しかし、「対立勢力を説得するため一時的に預かってもらっているに過ぎない」などと主張し、今年2月に辞任申請の撤回を宗務総長に伝えた。

 長野地裁は、小松前貫主は今年1月に記者会見を開いて対外的に辞任を発表するなど、辞めることを前提とした行動をしていたと指摘。「辞任申請の撤回をすることは、信義に反するものであり許されない」とした。【島袋太輔】

毎日新聞 2018年10月20日
https://mainichi.jp/articles/20181020/ddl/k20/040/187000c?inb=ra