2018.10.22函館新聞
 【上ノ国】1870(明治3)年に町大安在浜沖で座礁し沈没した、薩摩藩が建造した洋式軍艦「昇平丸(しょうへいまる)」の海底調査が20日、始まった。初日は文化庁が委託した調査チームが音波探査機を使用し、海底の状況などを確認。26日にまで調査を続け、同船の沈没位置の特定などを目指す。

 昇平丸は薩摩藩主島津斉彬が、諸外国の艦船に対抗する目的で1854(嘉永6)年12月に完成。幕府が同年5月に完成した鳳凰丸に続く2番目の洋式軍艦だった。明治維新後は開拓使へ移管し、米や材木などの輸送船としての役割を担ったが、函館から小樽へ向かう途中の70年2月、上ノ国町沖で沈没し乗組員19人のうち5人が死亡。1992年には町内有志らが、大安在地区に慰霊碑を建立している。

 本格的な海底調査は今回が初めて。この日は九州国立博物館研究員の佐々木蘭貞さんや東京海洋大学客員教授の土屋利雄さんら6人が地元の漁船に乗り込み、約4時間にわたって沈没地点とみられる周辺地域の調査を行った。

 土屋さんは「150年も前の木造船なので、腐食などにより船体そのものが残っている可能性は低いが、積み荷や部品などを見つけることができれば、沈没場所などを特定することができる」と話す。佐々木さんは「今回の調査で進展があれば、将来的には潜水調査なども行いたい」と意欲を見せている。

 また、25日午後7時から町総合福祉センタージョイじょぐらで調査の報告会を行う。入場無料。

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軍艦ではなく調査チームの船
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