「ガラが悪い」といわれ、住まいとしての評価が低い“まち”がある。
たとえば首都圏では東京都足立区や神奈川県川崎市といった自治体だ。だがデータをみると、実際の犯罪発生率は低い。
なぜデータとイメージが乖離しているのか。
行政評論家の大原瞠氏は「センセーショナルな犯罪報道が誤解を広げている」と指摘する――。
※本稿は、大原瞠『住みたいまちランキングの罠』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

■「治安の善し悪し」と「ガラの善し悪し」は違う

私たちが引っ越し先を決める際、転居候補地のまちの治安の善し悪しを気にしない人はまずいないでしょう。

市区町村ごとの治安の善し悪しをわかりやすく比較する指標としてよく引用されるのが、
各都道府県の警察が発表している「市区町村別刑法犯認知件数」を各地の人口で割って出した
「人口1万人(または千人)当たりの刑法犯認知件数」というものです。
わかりやすくいえば人口当たりの犯罪発生度合いのことで、少なければ少ないほどまちは安全、という理屈です。

一方で、私たちはまちの安全・安心を、「ガラの善し悪し」といった言葉で表されるような、いわば皮膚感覚でも判断しています。
ただし実際のところ、こうした皮膚感覚(まちのイメージ)と客観的なデータが一致しているかといえばはなはだ疑問です。
それでいて不動産評価は、鉄道沿線や地名の持つブランドイメージで値段が決まってしまう例があることからわかるように、
安全に関する客観的データと、各地域の持つ安心(または不安)なイメージなら後者が優先されて、まちの評価が決まってしまうことが多いようです。

ただ、みんなが目を背けているだけなのか、それとも単に気づいていないだけなのかわかりませんが、実はここにも大きな「不都合な真実」が潜んでいるのです。

■イメージだけなら武蔵野・浦安は「良好」、足立・川崎は「劣悪」

こういう例で固有名詞を出すのも気が引けますが、東京都足立区、同武蔵野市、神奈川県川崎市、
千葉県浦安市について、それぞれの人口1万人当たりの刑法犯認知件数を想像してみてください。少ない順に並べるとどうなると思います。

これら4市区を引き合いに出したのは、それぞれ特徴的なイメージを持った都市だからです。
まず足立区は、ヤンキーやヤンママが多いといわれるほか、犯罪が多発する危険なまちというイメージが定着しています。

次に武蔵野市ですが、住みたいまちアンケートで毎年のように首位を争う「吉祥寺」を擁しているまちです。
新宿・渋谷両方への鉄道交通の便がよいのに、地元にも十分な商業集積があり、さらに井の頭公園や成蹊大学など緑豊かで、ゆったりとした街並みを持っています。

続いて川崎市ですが、工業都市・公害都市として過去から積み上げられたガラの悪いイメージが残っています
(何年か前にも全国的に連日報道された凶悪犯罪で世間の注目を集め、悪いイメージが焼き直されてしまいました)。

最後の浦安市は、古くは漁師町だったのですが、東京ディズニーリゾートを擁し、市役所は豊富な税収を誇り、
行政サービスが手厚い新興住宅地というイメージに変わっています(地元の成人式はなんとディズニーランド内で開催!)。

以上、あえて意図的な書き方をしてみました。要するに世間の風評では、武蔵野市、浦安市はイメージ良好、足立区、川崎市のイメージは劣悪、ということがいいたいのです。
そしてよいイメージのある都市なら、まちも安全だろう……とつい思ってしまいがちです。

http://news.livedoor.com/article/detail/15484433/
2018年10月23日 9時15分 プレジデントオンライン

前スレ                  2018/10/23(火) 19:45
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1540295624/