五分間の簡単なテストで英語の総合能力が測れるという最小英語テスト「The Minimal English Test」(MET)を研究する岐阜大地域科学部の牧秀樹教授(言語学)が、十六年間の研究の成果を書籍にした。

 「センター試験や英検などの点数を予想するテストとして利用できる。ゲーム感覚で取り組めるので、中学生らが英語能力を高めるテストとしても使える」

 METは、穴埋め式のリスニングテスト。問題用紙には、単語が約七十カ所抜けた英文が書かれており、解答者は英文の音声から、抜けている単語を聞き取り、書き入れていく。

 牧教授は、留学生に対して、日本語能力を測る同様のテストがあることを知り、二〇〇二年から英語版のテストの開発を始めた。十六年間で一万件以上のデータを調べ、統計学的に分析。長時間をかけて、リスニングや読解能力、文法などの知識を問うセンター試験やTOEICなどの成績と、METに相関関係があることが分かった。

 なぜ相関関係があるのかは、脳の働きなどを踏まえて研究しなければならず、今後の課題だが、牧教授は「意味を考えたり、文法の知識を活用して、単語を予測しながら解答している可能性がある」と語る。

 書籍では、学問的な分析や解説だけでなく、英語の音声が録音されたCDと、問題も掲載した。牧教授は「ほかのテストと違い、テスト時間と終了時間が同じで、時間の無駄がないのも利点。中学から大学生、英語を教える教諭だけでなく、忙しい社会人にも活用してほしい」と話している。書籍「The Minimal English Test(最小英語テスト)研究」は開拓社から出版。三千八百円(税別)。

2018年10月24日
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20181024/CK2018102402000023.html