日本学生支援機構が、国の奨学金を借りた本人や連帯保証人(父母)が返済できない状況となり、保証人となっている親族に支払いを求める際、民法上は半額しか支払い義務がないことを積極的に説明せずに全額請求していたことが1日、分かった。

機構や所管する文部科学省によると、奨学金を貸与する際は、連帯保証人のほかに、4親等以内の親族1人を保証人とするケースが多い。返済額は毎月本人の口座から引き落とすが、返済が滞れば、連帯保証人に支払いを求め、それも難しければ保証人に請求する。

民法では、保証人には連帯保証人も含めた人数で等分に割った額しか返済義務がない「分別の利益」があり、この場合、肩代わりする義務がある債務は2分の1となるが、機構はそのことについて説明せず、保証人から主張があった場合のみ認めていたという。

機構などによると、平成29年度までの8年間で全額請求した総額は約13億円で、多くは支払いに応じたという。機構の担当者は「分別の利益については求めがあれば説明している。奨学金事業は税金が原資で、基本的には全額返してもらいたい」と話した。

文科省の担当者は「より丁寧な説明をすることは必要かもしれないが、全額請求に法的問題があるとは考えていない」としている。

産経ニュース
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