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「救命いかだ」整備結果 15年以上改ざん 国交省が業務改善指示
2018年11月2日 19時14分

国の認定を受けて「救命いかだ」など船舶の救命設備の整備を行う広島県の事業所が、15年以上にわたって整備結果を改ざんするなどの不正を続けていたことがわかり、国土交通省が業務改善指示を出しました。

不正を行っていたのは広島県福山市の「協栄マリンテクノロジ福山営業所」です。

国土交通省によりますと、この営業所は、国の認定を受けて5年に1度法律で義務づけられている船舶の「救命いかだ」や、いかだに乗るための「降下装置」の整備を行っていましたが、平成14年8月からことし6月にかけて、いかだや降下装置が正常に作動するかどうかを確認する整備を行わず、整備を行っていたかのように記録を改ざんしていたということです。

ことし5月、業界団体に情報提供があり、国土交通省が9月に立ち入り検査をして詳しく調べた結果、不正が発覚したということです。

国土交通省によりますと、これまでに救命設備に不具合があったというケースは確認されていないということですが、フェリーを含む156隻の船舶で、現在も適切な整備が行われていないということです。

国土交通省は、会社に対して業務改善指示を出し、救命設備の再整備や取り替えなどの調整を行うよう求めるとともにほかの事業所で不正が行われていないか今後、立ち入り検査を行って調査することにしています。

人手不足が原因か

協栄マリンテクノロジによりますと、福山営業所では、整備士と補助の合わせて6人が整備を行っていて、このうち整備士4人が不正を行っていたということです。

いかだや降下装置の整備工程の一部を省略すると、作業時間が3分の1ほどに短縮されるということで、人手不足の中、納期に間に合わせるためだった可能性があると説明しています。

またこの営業所は、破綻した別の会社の整備事業を協栄マリンテクノロジの親会社が平成14年に社員とともに引き継いでいて、社内調査に対し整備士は「以前の会社の時代から不正は行なわれていて、そのやり方が引き継がれていた」と話しているということです。

不正について営業所の上司や会社の幹部はいずれも把握していなかったとしています。

協栄マリンテクノロジの水谷廣司会長は「船舶の航行安全を揺るがしかねない重大な問題であるとともに、国からの許可を受けて整備点検を行う重要な責務に反する行為で深くおわび申し上げる」と話していて、原因を究明し再発防止に努めるとしています。

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