関東西郊と東京都心を直結する東急田園都市線。渋谷駅で接続している東京メトロ半蔵門線と相互直通運転を行っていますが、工事が始まったころは銀座線に乗り入れる計画でした。
なぜ別の乗り入れ先が変わったのでしょうか。

日本最古の地下鉄と「新しい玉川線」を接続
東急電鉄の田園都市線は、渋谷駅から中央林間駅(神奈川県大和市)までの31.5kmを結ぶ鉄道路線です。
起点の渋谷駅では東京メトロ半蔵門線と接続して相互直通運転を実施。
東京都心と郊外のニュータウン「多摩田園都市」などを直結しています

その便利さゆえに利用者も多く、2017年度の混雑率は185%(朝7時50分〜8時50分、池尻大橋→渋谷間)。東京の主要路線のなかでは8番目に混雑率が高い通勤路線です。
ちなみに、国土交通省が公表している混雑率の目安によると、180%は「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」、200%は「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」となっています。

しかし、田園都市線の建設が動き出したころの計画に比べると、これでも混雑を抑えられているといえるかもしれません。
田園都市線の計画が途中で変更されたためです。

現在の田園都市線は二子玉川駅を境に、おもに国道246号(玉川通り)の下を通る渋谷寄りの「地下区間」と、おもに地上を走る二子玉川〜中央林間間の「地上区間」に分けられます。
地下区間はかつて「新玉川線」と呼ばれ、実質的には玉川通りの路面電車(東急玉川線)に代わる「新しい玉川線」として建設されました。

新玉川線の計画は終戦後に浮上。1950年代には、渋谷〜銀座〜浅草間を結ぶ日本最古の地下鉄・銀座線の線路に接続して直通運転を行う計画がまとまりました。
このときの計画のまま建設されていれば、いまごろは銀座線に導入されたレトロ調の新型電車が、田園都市線の地下区間を走っていたかもしれません。

「地上」からは別ルートで都心乗り入れに
ただ、銀座線は2本のレール幅(軌間)が1435mm。電気の供給方式も走行用レールの脇に設置した給電用レール(サードレール)を使う第三軌条集電方式を採用しています。
東急各線の多くは1067mm軌間で、線路の上の電線(架線)から電気を供給する方式ですから、これでは銀座線に直通できません。

http://news.livedoor.com/article/detail/15547923/
2018年11月5日 6時20分 乗りものニュース