鮮やかな朱塗りの鳥居123基が日本海を望む元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ、山口県長門市)。米ニュース専門局CNNの紹介で有名になった同神社が来年元日、「神のお告げ」で社名から「稲成」を削ることになった。「違和感がある」「御利益は同じ」。神社の決定に、さまざまな意見が出ている。

 同神社は1955年創建。2014年の訪問客は約3万人だったが、CNNが15年3月に「日本の最も美しい場所31選」として紹介。訪問客は同年に約7万5000人、17年には約108万人にまで激増した。
 同神社斎主の岡村頼樹さん(70)は「増え続ける外国人観光客にも覚えやすいように、2年ほど前から改名を検討していた」と説明。今年1月、おみくじで「神のお告げ」を聞いて「元乃隅神社」に決めた。境内や社務所には、既に改名を伝えるポスターを貼ったという。

 全国約8万の神社を傘下に置く神社本庁(東京都渋谷区)によると、戦後の混乱期などを除き、神社の改名は「基本的にはない」(広報担当者)。ただ、元乃隅稲成は岡村さんの祖父が創建した個人所有物で、宗教法人としての届け出もなく、改名は自由という。
 10月上旬に改名決定が報道されて以降、同神社に賛否は寄せられていないという。ただ、ツイッターなどでは「違和感がある」「ご神体を示す『稲成』を取っちゃマズイでしょ」「罰が当たるのでは」など否定的な意見が目立つ。

 影響は地元自治体にも。長門市は観光パンフレットと道路の案内板の修正を決めたが、予算化が間に合わず、年内に完了するか不明という。
 ネット上では「名が変わっても変わらない」「神社は祭ってる神様が重要で、社名はただの記号でしかない」など擁護の声もある。岡村さんは「私と神様との話し合いで決めた。御利益は同じ。今後も多くの人に参ってほしい」と話している。(2018/11/05-04:29)

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