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日銀の黒田総裁 慎重な金融政策運営の考え示す
2018年11月5日 16時27分

日銀の黒田総裁は名古屋市での講演で、「大規模な政策を思い切って実施することが最適と判断された経済や物価の情勢ではなくなっている」と述べ、緩和の長期化に伴う副作用に目配りしながら、慎重に政策運営をしていく考えを示しました。

この中で黒田総裁は、大規模な金融緩和を始めた5年前と比べて、日本経済は着実に改善しているとしたうえで、「デフレ克服のため大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済や物価の情勢ではなくなっている」と述べました。

5年前の就任以来、黒田総裁は、緩和の規模の大きさを強調してきましたが、金融緩和が長期化を余儀なくされる中、今後、副作用にも目配りしながら慎重に政策運営をしていく考えを改めて示した形です。

一方、大きな副作用とされる金融機関の収益力の低下について、黒田総裁は講演のあとの記者会見で、「本業の収益の減少がいずれ大きな課題になることは認めているが、足元では金融機関の機能は損なわれていない」と述べました。

そのうえで、「金利を引き上げて貸し出しの利ざやが高まるようなことをすると、むしろ景気が悪くなって金融機関にとっても好ましい状況にはならない」と述べ、副作用をなくすために金融政策の正常化を急ぐと逆効果になるとして、金融緩和を粘り強く続ける姿勢を強調しました。