11/7(水) 7:15配信
毎日新聞

 福岡市東区で7月、小学生の男児(当時10歳)が連れ去られそうになる事件があり、男児が通う学童保育でボランティアをしていた無職男(40)が未成年者誘拐未遂容疑で福岡県警に逮捕された。男は過去にも児童連れ去り事件などで複数回逮捕されていたが気付かれず、子供に関わるボランティアとして採用されていた。【柿崎誠、宮原健太】

 福岡県警や関係者によると、男は7月27日、自身が有償ボランティアをしていた学童保育に通う男児の自宅前で「お菓子やおもちゃを買ってあげるから2人で外に出よう」と声をかけ、誘拐しようとしたとされるが、男児が断り未遂に終わった。住所は男児から聞き出していたという。

 県警は9月7日に男を逮捕したが、男児への影響を考慮した保護者が、未成年者誘拐罪で起訴するのに必要な被害者側からの告訴を見送ったため、福岡地検は10月3日付で不起訴とした。一方、県警はストーカー規制法に基づき、男に男児へのつきまといを禁じる禁止命令を出した。

 男は過去にも男児や男子生徒を狙った事件を起こし、実刑判決も受けている。2001年に福岡市で小学6年の男児(当時12歳)を誘い出し2日以上連れ回したとして未成年者誘拐容疑で、05年にはインターネットの会話(チャット)で男子中学生(同12歳)を脅したとして脅迫容疑で、それぞれ逮捕された。10年にも男子高校生(同16歳)を福岡県から広島県まで連れ回したうえ、高校生の首をネクタイで絞めたとして殺人未遂容疑などで逮捕されている。

 福岡市放課後こども育成課によると、男は夏休み期間の7、8月限定で、子供の遊びに付き合ったりおやつを出したりする学童保育の補助員に応募し採用された。担当者が履歴書を基に面接をしたが、不審な点はなかったという。仕事ぶりもまじめだったが、今回の事件とは別の男児の家を訪れ、職員から注意を受けたことがあった。事件後も任期いっぱいボランティアを続け、辞めた後に事件が発覚した。

 福岡市内に学童保育は138カ所あり、4月時点で約2300人が有償ボランティアとして登録している。同課の中野哲宏課長は「欠格条項がある地方公務員の教諭などは採用時に身元確認をするが、ボランティアではそこまでできない」と苦悩する。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181107-00000006-mai-soci

<学童保育など>ボランティアから小児性愛者ら排除は困難

11/7(水) 7:15配信
毎日新聞

 学童保育など子供と接するボランティアに、小児性愛者ら別目的の大人が入り込むことを防ぐのは現状では難しい。

 警察庁は05年から、13歳未満の子供に対する強制性交等や強制わいせつ、わいせつ目的誘拐などの罪で服役した出所者を「再犯防止措置対象者」として登録している。

 対象者は一定期間、警察官が居住地を確認し面談も実施する。子供への声かけ事案などを起こせば警告し、登録を延長することもある。対象罪種以外でも動機や手口が悪質と判断した場合、各都道府県の警察が登録することもあるが、今回の男は対象ではなかった。ただ対象者かどうかは個人情報に当たるため、外部の組織からの照会には応じておらず、今回の事件の男が仮に対象者だったとしてもボランティアに採用されていた可能性は高い。

 日本大法学部の尾田清貴教授(刑事政策)は「子供との接点が多い仕事についてはボランティアであっても、応募者に身元保証人を付けてもらったり、前職に勤務態度などを照会したりするなど採用側が仕組みを整える必要がある。警察との情報共有の在り方についても、今後議論を進めるべきだ」と指摘する。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181107-00000007-mai-soci