新規出店の際、商品納入業者に従業員を不当に派遣させて準備を手伝わせたなどとして、公正取引委員会は11月7日、独禁法違反(優越的地位の乱用)の疑いで、ドラッグストアを展開する福井県坂井市の「ゲンキー」を立ち入り検査した。

 関係者によると、ゲンキーは数年前から複数の納入業者に対し、立場の強さを利用して、新規出店の度に準備を手伝わせた疑いがある。派遣させた従業員の日当は支払っていなかったという。売れ残った商品の引き取りを納入業者に求めた疑いもある。

 独禁法は、立場の強さを利用して不当に金銭や労働力を提供させたり、支払いを減らしたりする行為を優越的地位の乱用として禁止している。公取委が、この容疑でドラッグストアチェーンを立ち入り検査したのは初めてとみられる。

 公取委が、大規模小売業者に商品を納入する業者を対象に調べ、1月に公表した報告書では、独禁法上問題となり得る取引の割合が、ドラッグストア業界は28・8%に上り、業界別で最も高かった。公取委は今回の立ち入りで、業界全体の是正につなげたいもようだ。

 ゲンキーは7日、公取委の立ち入りを受けていることを認めた。

 ゲンキーのホームページによると、1988年に創業。石川、福井、岐阜、愛知の4県で約230店舗を展開している。

2018年11月7日 午後0時40分
福井新聞
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/735025