阪神工業地帯の中心地で「労働者の街」のイメージが強かった兵庫県尼崎市が、住宅地として注目され始めている。

JR尼崎駅周辺では子育て世帯向きの大規模マンションや商業施設が相次いで建設され、「住みやすい街ランキング」で1位になった。
かつてのイメージは払拭されてきているが、市内の製造業者は減少を続けており、
市の目指す子育て世帯増加と産業振興の両立に課題が残る。街づくりのかじ取り役を選ぶ尼崎市長選は11日に告示される。(中井芳野)

家族向けマンション約10棟や大型商業施設「あまがさきキューズモール」がある尼崎駅北側。
買い物袋を持ち談笑する女性やベビーカーを押した若い母親らが目立ち、近隣の西宮市や芦屋市のような落ち着いた住宅街となっている。

この地域は今夏、交通の便や今後の発展性などが評価され、大手住宅ローン会社が発表した「住みやすい街ランキング」で、京阪神の主要駅周辺100地域の中で1位に輝いた。

市は約30年前から、子育て世帯の転入を促そうと尼崎駅周辺の再開発を計画。マンションの誘致を進めた結果、
駅北側の再開発区域の人口は平成元年に約千世帯2600人だったのが、30年には約4600世帯9300人と大幅に増加し、他市からの転入も目立つようになった。

人口が増加したこともあり、尼崎駅の北西約1キロにある市公設地方卸売市場の利用法も議論になっている。
同市場は住宅エリア近くにあるにもかかわらず、約6万3200平方メートルの広大な敷地の半分以上が使用されていない。

市は当初、平成34年にスタートさせる中学校給食のための給食センター予定地として同市場を想定していた。
しかし市議会では「住宅地としての土地活用を検討すべきではないか」などの意見が上がる。市幹部も「長期的な目で見れば、新たな住宅地になる可能性がある」と漏らす。

住宅都市化への機運は高まる一方だが、もともと尼崎は工業地帯として発展してきた歴史がある。
ただ、昭和53年に3344あった製造業の事業所数は平成28年には約半数の1683まで減少。
労働者の多くは街を去り、「工業の街」としてのイメージは薄らぎつつある。

市は住宅創出と産業振興の両立を掲げ、金融機関と連携した事業承継の推進や個人起業家への支援などに取り組むが、事業所数の減少に歯止めはかかっていない。
こういった現状から、「子育てしやすい街」を打ち出して家族世帯の転入・定住により注力している。
住宅創出に加え、市内では教育や子育てに関する複合施設の開設も控える。

とはいえ、かつてのイメージからか西宮や芦屋に比べて若者世帯からの住宅地としての人気は高いとはいえない。
市幹部は「住みやすいというだけでなく、住みたいと思ってもらえる街にしなければ」と危機感を募らせる。

今後、イメージとどう向き合いながら、住宅創出と産業振興の両立を実現させるのか。
新たなリーダーの手腕が問われる。

http://news.livedoor.com/article/detail/15563741/
2018年11月8日 8時22分 産経新聞

https://osakadeep.info/assetimg/28_hyogo/tonouchi/tonouchi_2012_0011.jpg
https://osakadeep.info/assetimg/28_hyogo/tonouchi/tonouchi_2012_0001.jpg
https://osakadeep.info/assetimg/28_hyogo/tonouchi/tonouchi_2012_0009.jpg
https://osakadeep.info/assetimg/28_hyogo/tonouchi/tonouchi_2012_0012.jpg
http://blog-imgs-52.fc2.com/r/o/k/rokunonikumicyo/2012100214181953b.jpg
https://stat.ameba.jp/user_images/20141102/20/kazuwo2015/ca/21/j/o0400038413117151168.jpg