サルが現れず、閑散とする週末の寄せ場=3日、大分市の高崎山自然動物園
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大分市の高崎山自然動物園で、餌をやる寄せ場にサルが現れなくなっている。サル数を抑制しようと餌の量を年々減らしてきた園に対し、不満を募らせたサルが山奥に引きこもり“ストライキ”に打って出たのが原因で、群れの力関係も影響しているとみられる。書き入れ時の7、8月の来園者は例年より計1万人以上も減り、普段は穏やかな園で緊張感が高まっている。

園によると、高崎山はもともと農作物を荒らす野生のニホンザルに餌付けし、観光資源にした施設。山にはB群(約640匹)とC群(約590匹)が生息し、寄せ場には午前にC群、午後にB群が現れるのが一般的だった。
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園の入り口前でサルがいないことを知らせる案内
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■「餌への不満が爆発した」

異変が顕著になったのは今春以降。C群は毎月10日ほどの“欠勤”が続き、9月は連続11日を含む22日間、10月も12日間、姿を見せなかった。B群も来ない日があるほか、わずかな時間で山に帰っていくなど、不安定な状態が続いている。

園では、一時2千匹を超えたサルを800匹まで減らそうと、約30年前から1匹あたりの餌を少しずつ減量。B群で「餌への不満が爆発した」(職員)ため、餌が豊富な夏から秋にかけて山奥に引きこもるようになったと推察している。さらに餌場を広げようと山の外に出る様子も目撃され、寄せ場に来た時に木の実をたくさん頬張っているサルも確認されている。
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C群のボス「ブラック」=今年1月
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■サルの減少に伴い来場者は大幅減

C群は、かつてのリーダー格が恋人を求めて次々にB群に入ったため、急激に弱体化。2016年以降、山の木の実などが減る冬場はB群が寄せ場を占拠するようになった。近づけなくなったC群は「寄せ場に来る習慣自体、なくなった可能性がある」という。

サルの減少に伴い来場者は大幅減。7月は1万4166人(前年同月比4573人減)、8月は3万1290人(同6758人減)、9月は1万3421人(同4059人減)となった。園は今夏、デザートの芋を「紅あずま」などのブランド芋に変え、「スイーツの魅力」でサルを誘ってきたが、結果には結びついていない。
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■C群の消滅、園が懸念

さらに園が懸念するのはC群の消滅だ。今の群れの様子は、覇権争いに敗れて寄せ場に来なくなり、02年に消滅を確認したA群と似ているという。C群には、英国の王女と同名で有名になり、「選抜総選挙」で連覇した人気者のシャーロットもいる。
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A群が消滅した直後には、園を去ったサルが付近の畑などで農作物を食べる「猿害」が多発しており、同様の事態も心配している。
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サルたちの今後の動きは予断を許さない。園側は「慎重に経過を観察しながら対策を考えるしかない」と気をもんでいる。

11/8(木) 10:03
西日本新聞